
不正行為者は、自身の痕跡を消すためにメールを削除し、不正経理のExcelファイルを消去し、さらには証拠隠滅用のデータ抹消ソフトを使用することもあります。しかし、高度なデジタル・フォレンジック技術を用いれば、彼らが「完全に消し去った」と信じているデータの断片から、真実をパズルのように組み上げることが可能です。
例えば、カスタムカービングと呼ばれるデータ復元技術を用いれば、ファイルのインデックス(目次)が消去されていても、ハードディスク内のセクタ(データの最小単位)を直接スキャンし、残存している文字列やファイル構造の特徴から、削除されたメールの本文や添付ファイル、改ざん前のドキュメントを復元できます。
また、レジストリ解析やイベントログ解析によって、「何月何日の何時何分に、特定のシリアルナンバーを持つ個人のUSBメモリが接続され、どのファイルが持ち出されたか」といった行動履歴を分単位で特定することも可能です。さらに、Webブラウザの閲覧履歴やキャッシュ、一時ファイル(Prefetchファイルなど)を解析することで、従業員が勤務時間中に密かに個人のWebメールにアクセスし、キックバックの交渉を行っていた痕跡を復元し、不正の動機と実行のプロセスを時系列(タイムライン)で完全に丸裸にすることができるのです。